個人事業を法人として運用することのメリット

1.所得税と法人税の税率差による節税

 個人の場合は、「売上(収入)-必要経費」に対して丸々所得税がかかってきますが、法人の場合は、「売上(収入)-必要経費」に対して丸々所得税がかかる訳ではありません。

所得税及び住民税の最高税率は55.945%ですが、法人税等の実効税率は中小企業の場合、約30%です。所得が高ければ高いほど税率差が大きくなる仕組みになっています。

2.役員報酬が法人の経費となる(給与所得控除分について課税がなされない)

 役員として役員報酬を法人の経費として支給することができます。家族を役員にした場合、家族に対しても同じように経費として支給でき、所得の分散を図ることができます。

.信用力の向上

 法人としての活動は、一般的に金融機関や取引先からの信用力が向上することが多いです。法人格を持つことで、大きなプロジェクトや融資の際に有利になることがあります。

4.決算月を自由に設定できる

 個人の場合、12月決算と決まっていますが、法人の場合は繁忙期・閑散期などを考慮して自由に決算月を設定できます。

5.役員退職金の支給ができる

 役員報酬と同様に法人の経費として退職金を支給することができます。

6.生命保険料の一部が法人の経費となる

 個人の場合は、自身の生命保険の掛け金のほんの一部が生命保険料控除と対象となりますが、法人の場合、加入した保険の種類や受取人等の諸条件によっては掛金の410割を法人の経費とすることができます。 

. 青色申告すれば赤字でも翌年以降10年間赤字を繰越し、翌年以降の利益と相殺できる。

8.事業承継がスムーズになる

 個人事業の場合、事業がその人個人に帰属します。一方で法人の場合、株式を後継者へ譲渡することで比較的簡単に経営権を委譲できます。許認可等についても法人に帰属しているため一定の要件を満たす必要性はあるものの引継ぎまでの猶予期間があります。