福利厚生費とは、従業員が働きやすい環境を整え、安定した生活を支援するために会社が負担する費用のことです。これには、法律で義務付けられた「法定福利厚生」と、会社が任意で提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。
1. 法定福利厚生(会社が必ず負担するもの)
法律で義務付けられている福利厚生で、主なものは以下の通りです。
◆健康保険料 … 病気やけが等の事態に備える公的な医療保険制度
◆厚生年金保険料 … 会社で働く人が加入する公的年金制度
◆介護保険料 … 40歳以上の従業員が対象の介護に対する公的保険制度
◆雇用保険料 … 失業した際等の手当を支給するための保険料
◆労災保険料 … 業務中の事故や病気を補償するための保険料
法定福利厚生は「社会保険料」として会社が従業員の給与から天引きし、会社側も一定割合を負担する仕組みになっています。
2. 法定外福利厚生(会社が自由に設定できるもの)
会社の判断で導入する福利厚生で、従業員のモチベーション向上や離職防止に役立ちます。主なものは以下の通りです。
◆交通費補助 … 通勤費の一部または全額を会社が負担するもの
◆住宅手当 … 自宅家賃の補助を支給(会社規定による)
◆健康診断・人間ドック … 法定以上の健康診断や人間ドックの補助
◆食事補助 … 社員食堂の運営、昼食代の補助
◆慶弔見舞金 … 結婚・出産・弔事などに対する支援
◆福利厚生サービス … スポーツジムやレジャー施設の割引制度
法定外福利厚生は、従業員の働きやすさを向上させる目的で導入されます。特に住宅手当や食事補助は人気があり、会社の魅力を高める要素になります。
ただし、福利厚生費として認められるには、従業員全員が公平に利用できることが原則です。特定の役員や一部の社員だけが恩恵を受ける場合は、「給与」とみなされ、課税対象になることもあります。
3.法定外福利厚生の導入を検討する際のポイント
◆会社の財務状況に応じて設計する
→ 初期の段階では、交通費補助や健康診断など負担の少ないものから導入しましょう。
◆税務上のルールを確認する
→ 福利厚生費と認められるための要件を事前に税理士と相談しましょう。
会社の成長とともに、適切な福利厚生を整えていくことで、社員の定着率が向上することも考えられます。まずは、無理のない範囲からスタートしてみましょう。