事業運営上の費用は意外に多い

事業運営上の費用
前回は起業をすると事業化した本業の仕事以外に事業を運営する仕事、すなわち「経営の仕事」が加わるという内容でした。
おそらく、勤務していた時よりも大幅に仕事量が増え、 また、今までに経験したことがない仕事が多いと感じることでしょう。

その理由は勤務していたころはこれらの仕事は経営陣か、スタッフ(総務、経理、税理士事務所等)が行っていたからです。
起業すると仕事量が思っていたよりも多くなることについて述べましたが、今回は費用負担も意外に多いということについて説明したいと思います。

起業をした人の相談で多いのは、「売上を上げるために直接掛かる費用(仕入の費用、外注費等)は当然見当が付いていたが、事業の運営費用については予想以上に掛かってしまった。」という内容でした。
特に社会保険料の負担が大きいのが予想外のようです。
法人及び5人以上の従業員がいる個人事業主は一部の例外を除き、原則として社会保険に加入する義務があります。


社員負担(%)会社負担(%)合計(%)
健康保険4.9854.9859.97
厚生年金8.568.5617.12
合 計13.54513.54527.09

(※1)健康保険の料率は都道府県ごとに定められていて、この表は東京都の率です。
(※2)40歳以上65歳未満の方は介護保険(1.55%)が加わります。
(※3)従業員を雇用した場合にはこの他に雇用保険と労災保険を負担することになります。

例えば、会社を設立して当初は一人で事業を始めたとします。
会社から社長として自分の給与を貰うことにし、勤務していたころの給与は月額50万円だったので同額を貰うことに決めました。

なお、社長や他の役員の給与は税務上役員報酬として特別な取り扱いがされています。
その一つに、役員報酬は設立後3カ月以内に決め、その金額を原則1年間継続して支給し続けないと、その事業年度の税務上の損金(経費)として認めないという規定があります。

さて、役員報酬月額50万円の社会保険の自己負担分は前掲の社会保険料率表から計算すると67,725円です。
勤務中もこの金額に近い社会保険料が給与から引かれていたと思います。
ところが、会社負担分を忘れていました。
1年間では812,700円(67,725×12)の負担増になるのです。

これはほんの一例ですが、起業をすると思ったよりも負担が大きいのです。
そのために、いざとなってあわてないために事業計画を立てることをお勧めします。
予想される売上高は、どのような費用がいくらくらいかかるのか、これを予想される売上高で賄えるのか、事業計画を立てる、つまりシミュレーションをしてみるのです。

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